熊本の名校長『最後の授業』

今月号の(株)タニサケの有料社内報に、添付されていた資料に、九州ルーテル学院大学客員教授 大畑誠也氏の記事が入っていました。内容はまだ高校の先生をされていた頃に継続されていたことについてでした。

卒業式が終わったあと、卒業生と親に集まってもらい、「親に感謝。親を大切にする」の教えをされる場面です。

親はいすに座って、子供はその横に正座。どちらも、目を瞑らせます。

以下、本文より引用です。

「いままでお父さん、お母さんにいろんなことをしてもらったり、心配をかけたりしただろう。それを思い出してみろ。親子喧嘩をしたり、こんな飯は食えんとお母さんの弁当に文句を言った者もおるだろ?」

そういう話をしていると、涙を流す者が出てきます。

「おまえたちを高校へ行かせるために、ご両親は一所懸命働いて、この金ば、たくさん使いなさったぞ。そういうことを考えたことがあったか?
学校の先生にお世話になりましたと言う前に、まず親に感謝しろ

そして

「心の底から親に迷惑をかけたと思う者は、いま、お父さんお母さんが隣におられるから、その手を握ってみろ」

と言うわけです。

すると一人、二人と繋いでいって、最後には全員が手を繋ぐ。
私はそれを確認した上で、こう声を張り上げます。

「その手がねぇ! 十八年間おまえたちを育ててきた手だ。分かるか。…….親の手をね、これまで握ったことがあったか?
おまえたちが産まれた頃は、柔らかい手をしておられた。

いま、ゴツゴツとした手をしておられるのは、おまえたちを育てるために大変な苦労してこられたからたい。それを忘れるな

その上でさらに

「十八年間振り返って、親に本当にすまんかった、
心から感謝すると思う者は、いま一度強く手を握れ」

と言うと、あちこちから嗚咽が聞こえてくる。

私は、

「よし、目を開けろ。分かったや?
私が教えたかったのはここたい。
親に感謝、親を大切にする授業、終わり

と言って部屋を出ていく。
振り返ると親と子が抱き合って涙を流しているんです。

 

読みながら自分も、子供としても、親としても、この席にいたかったなと思いました。
実は89歳の母が、目を悪くしています。

緑内障と、白内障を併発し、右の目はもう、狭い範囲しか、見えないようです。
左目にも、少しずつ発症しているようですが、地元の医師は、手術しても良くなる可能性は少ないとあまり勧められません。

市内の大きな病院で見てもらいたいと言うので、朝7時から迎えに行って、ほぼ1日掛かりで、検査をしました。結局大きな病院でも結果は同じで、進行を遅らせるしかないとのこと。

帰る車の中、母はぐじぐじと「もう見えんごつなるしかなか」とか「目くらになったら、施設にでん入れてくれ」と言います。
母の姉さんは、30代ぐらいから、目が見えない生活をしていました。

私が「おばちゃんは若い頃から見えなはらんだったろ? それを考えたら見えんごとなると決まっとらんけんよかたい」と言うと、「若いときから見えん方が馴れとってよかもん」と返ってくる始末です。

若い頃は、どんな怪我をしても、少しくらい熱があっても、弱音など吐いたことなかった母だったのに、現在の母の変わりようにちょっとイラッとしつつ、歳をとって弱ったなと感じ、大畑先生の話を思い出し、優しくしなければと思わされました。

親孝行はしてもしても足りないのは、父で経験済みです。
母をしっかり見守っていきます。

 

パイナップルの出荷が始まりました。もうすぐみなさんの元へお届けします。

 本日もお読みいただいてありがとうございました。

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