自転車

私が子供のころ、家には自転車がありませんでした。
といっても、山あいの集落は少し歩けば坂道のような道ばかりで、自転車に乗っている大人や子供を見ることがありませんでした。
しかし、小学1年生のとき家にテレビがきて、そのなかで自転車をまじまじと見ることになります。
まっすぐな道を軽やかにすいすい走る自転車は、とても気持ちが良さそうで格好よく見えました。

小学5年生のとき、近くの友達が自転車を買ってもらい実物を間近で初めて見ました。



見ていると、なかなか走らせるのは難しそうです。
私は友達が乗れるようになるのを、食い入るように見つめていました。

1ヵ月ほど経ち友達も乗れるようになったころ、私は思い切って1日だけ自転車を貸してほしいと友達に頼み込みました。
すると、友達はあっさり貸してくれました。
期限は日曜日の朝から夕方までです。

自転車を壊してはいけないので、なるべく倒さないように恐る恐る朝から乗る練習を始めました。
誰も手伝ってくれる人はいません。
でも、ここで乗れるようにならなければ私はずっと自転車に乗れない、そんな気がして1日中必死で練習しました。
乗れるようになったのは夕方暗くなりそうなときで、膝小僧は血だらけになっていました。
あの気持ちよさそうな自転車に乗るのは、こんなに大変だったんだと泣きそうになりながらも根性で乗れるようになったのです。

思えば、あのなにもない田舎では、何をするにも根性を植え付ける絶好の場所だったのかもしれません。
過酷な環境が最も子育てに有効だとしたら、今の子供たちはそのチャンスを奪われているのかもしれませんね。

本日もお読みいただいてありがとうございました。

感謝