これだけ息子に愛されたお母さんを私は見たことがありません。

手の法要30周忌での大野勝彦先生とお母さん

5月3日 風の丘美術館の館長 大野勝彦先生のお母様が亡くなられました。98歳でした。

ここ4〜5年の間は入院や施設で暮らされることが増え、調子が良いときには許可をもらって美術館までこられ、壇上で二人のトークショーを見せてもらいました。

先生がお母さんを見る目はちょっと恥ずかしそうで、でもとても優しく、どれほどお母さんが好きなのだろうと思って見ていました。
熊本に居るときは毎日、病院に顔を見せに、はたまた顔を見に立ち寄られ、ここ最近は1日1枚、お母さんの似顔絵描きが日課だと聞いていました。
10冊出版されている詩画集の中でも圧倒的にお母さんのことを書かれた内容が多く、いつもその詩画に泣かされます。

大野先生とお母さんのこの強い絆は先生が45歳で両手を失ったとき、その場所に駆けつけたお母さんと二人でその事故を共有したことに始まると思います。

お母さんにとっては手を残してあげることができなかった無念さ、そして先生にとっては月日を重ねるごとにそんな思いを母に与え続けてきた申し訳なさ。
こんな簡単な話ではないでしょうが、近くで見ている人たちは誰もが「先生のお母さんは幸せだろうな、こんなに息子に愛されて」と思って見ていました。

これからは天国から見守ってくださることになるお母さんに納得して、今まで母に喜んでもらうためという強い思いで自分を奮い立たせて生きてこられた先生がどう気持ちを切り替えて、顔を上げ、日々を過ごしていかれるのか不安と期待が混同しています。

きっと先生は心の痛みを表に見せないよう作り笑いを浮かべながらもこれからも人々を笑わせてくれることでしょう。
先生は苦難にどう立ち向かうかを、手を失ったとき、そして地震に美術館を壊されたときと2度見せてくれました。

今回がもしかしたら一番大きな試練かもしれませんが、きっとここも男らしく黙々と乗り切っていかれることを願います。
お母様のご冥福を心よりお祈りします。

地震の後でも負けることなくその強さに驚かされてきました。

詩画集『風の丘物語』の出版記念パーティーでの二人の様子

本日もお読みいただいてありがとうございました。

感謝