重松清さんの「ナイフ」。苦しいけれどおすすめです。

先日東京へ仕事で行った際、空港で重松清の「ナイフ」という本を買って出張中に読み切りました。
短編で軽い気持ちで読み始めたのですが、5つの物語全て「いじめ」がテーマになっているものでした。いじめを受けている本人、親、友達等、様々な角度から捉え、とてもリアルに描かれています。ニュースでいじめが絡む自殺などに至るには、こんな現実があるんだと初めて理解出来た様な気がします。
『親や先生は何をしていたんだろう』と考えたりもしていましたが、実は子供にとって親に隠しておきたい絶対的な理由がある事も分かりました。
切なくて先が読めず何度も何度も休みながらの完読でしたが、久しぶりにグサリと胸に突き刺さる本に当たりました。
帰りの飛行機で涙は堪えたのですが、鼻水が止まらず困ってしまいました。親は子供が生まれた時、この子に絶望的な苦痛や試練が待ち受けていませんようにと祈ると思います。

私達の子供の頃は、この様ないじめは存在していませんでした。今の時代を生きる子供達はいつ、何時この様な理不尽な事に遭遇するか解りません。豊かすぎると、人は人の心の痛みに気付かなくなるのでしょうか。とにかく多くの事を考えさせられた本でした。
是非読まれる事をおすすめします。